読書感想「空気と戦争」(猪瀬 直樹 著)
今回は、「空気と戦争」(猪瀬直樹 著、文春新書 刊、定価:本体710円+税)
を紹介します。
この本は、'06年に東京工業大学の学生への講義を元に編集されたものです。
「時代に流されずに生きるとは?」のテーマを、昭和の時代に起きた日米戦争に
関する歴史の事実を語ることで、解き明かそうとしています。
歴史の事実について著者自らが疑問を持ち、納得するまで調べ尽くすことで表現されている文章なので、大変読みやすく、一気に読み進めることが出来ました。
歴史の認識、その評価について誉めているのではありません。
また、昨今は、わかりやすさ、読みやすさを目指す本が氾濫していますが、
歴史の認識、その評価について誉めているのではありません。
また、昨今は、わかりやすさ、読みやすさを目指す本が氾濫していますが、
それらとは一線を画していることも事実です。
”偶然にしろ、必然にしろ、自らが関わり、知りぬくこと。そうすれば…”
意味不明な文章かもしれませんが、そんな感じがしてくる本です。
”歴史は繰り返す”、”「空気」の正体をつかめ” の段落で、
著者が道路公団民営化に現場で関わったエピソードも盛り込まれています。
「戦前には陸軍省という役所が石油需要量のデータを独占し、意のままに操作してきたのと同じ光景が、いまや道路需要推計をめぐって国土交通省という役所で起こっている。「むかし陸軍、いま国交省」と叫びたくなる「官僚独裁」がこの国の戦前戦後を通して行われてきていたのだ。」(178頁)
「戦前のマスコミは朝日新聞でもなんでも、戦争支持に雪崩を打って、失敗していった。そういう「空気」に支配されないためには、戦前と戦後を貫くこの国の官僚支配の構造を見抜く歴史意識を持つことだ。」(186頁)
”なぜ、戦争が起きたのか? あるいは、なぜ、戦争が回避できなかったのか?”
から始まった講義は、いつの間にか現代の問題点へと敷衍(ふえん)していきます。
から始まった講義は、いつの間にか現代の問題点へと敷衍(ふえん)していきます。
置き換えてみれば、何か言いたくなる人も出てきますよね?(苦笑)
まあ、一言で言い表せば、”著者の他の作品をもっと読みたくなる!”本でした。
追伸:東京都の副知事である著者は、以下の発信を紹介しています。
「言葉の力」再生プロジェクト の活動報告書 「東京から「言葉の力」を再生する」
(東京都の公式HPにあるサイト:「言葉の力」再生プロジェクト
http://www.chijihon.metro.tokyo.jp/katsuji/index.html )からダウンロード出来ます。
(僕も含めて)あの都知事が嫌いな人も、
まずは相手を知ることから始めてみませんか?(苦笑)
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ランキングに再参加してみます。どうなるかな?(苦笑)